長く、暗いトンネルを越えて
10年間のリモートワーク、5年間の開発期間、3億円の投資。長く、暗いトンネルを越えて、ようやく見つけた光明。
それは「コネクテッド」というイノベーションの片鱗だった。
人々は根源的に「つながりたい」と思っている。
しかし、既存のツールは「性悪説」を前提に構築され、不要な承認プロセスが人々の間に隔たりを生んでいる。
そのため、多くの人々は非同期的なコミュニケーションに頼らざるを得なかった。
世界が変わる法則性
「人々はすぐに話せる"状態"を求めているのではないか」
この仮説を深めていく中で、世界を変えてきたプロダクトに共通する法則性が見えてきた。
それは「反直観性」≒「性悪説へのパラダイムシフト」だった。
Tinderの「スワイプ」
Zenlyの「位置情報」
Figmaの「WebGL・Webコラボレーション」
WhatsAppの「既読」
これらのイノベーションは、一見すると危険な一手に思える。
しかし実際は、テクノロジーとデザインの力で、まったく新しい価値を生み出している。
Tinderは「知らない人と会うなんて危険」から「結婚・パートナーができた」へ
Zenlyは「位置情報がバレるなんて怖い」から「待ち合わせが簡単になった。理由がなくても連絡を取ることが増えた」へ
Figmaは「これがデザインの未来なら転職する」から「リアルタイムコラボレーションはそれほど怖くなかった」へ
WhatsAppは「既読しているのがわかるのはなんか嫌」から「最も手軽で簡単、確実に気づいてもらえるチャット」へ
これらは性悪説を前提にした社会パラダイムに対し、反直観的な解決策を提示し
圧倒的な「体験摩擦の解消」を図るアプローチである。
サンフランシスコで体験したBirdやLimeも同様だ。
乗り捨て可能な公共キックボードは、性悪説を前提にすれば
最悪のアイデアに見える。
なぜなら乗り捨てられ、事故のリスクもある、極めつけに盗難のリスクだって容易に想像がつく。しかし、実際はそれをテクノロジーとデザインの力で、うまく回る仕組みに仕上げているのだ。
最悪で、それでいて最高のアイデアなのだ。
http://startupclass.samaltman.com/courses/lec01/
Teracyが見出した「コネクテッド」
そして私たちは、「コネクテッド」という答えにたどり着いた。
これまでのトランシーバーUXの試みから得た「認知負荷の低いデザイン」という要素を活かしながら、さらに本質的な革新を目指した。
その結果が
「コネクテッド」- 「すでにつながっている状態」
を提供するという、反直観的なアプローチだ。
もちろん想定通りの反応が初期は返ってきた
「開いたら自動で繋がるなんて」「常時接続は嫌だ」などだ。
しかし、そこから少しばかりの時を経て、
多くのユーザーが今「コミュニケーションが圧倒的に簡単になった」と言っている。
Teracyの表層的コアは「ひらけば、仲間がそこに。」だ。
PCを開くだけでオンラインになり何の努力も必要ない(自動オンライン)
これにより既存バーチャルオフィスのアクティベーション課題も解決した
リアルタイムの状態は自動で共有され、可視化のための努力は不要(ライブステータス)
自動オンラインはもちろん、ライブステータスもあるユーザーから「メンバーが悲鳴をあげています!」と連絡が来たこともあった。
自動で自分の状態が可視化されることに感覚的に強い抵抗感を覚えたのかもしれない。
しかし、少しの時を経て
今では数百を超えるチームが、リモートワークに限らず、ハイブリッドワーク、そしてフル出社のオフィス企業でも利用している。
また、企業だけでなくフリーランス同士の共同作業、友人とのコミュニケーション、学生の研究室での利用まで。幅広く広がっている。
・・・
パラダイムシフトがおきつつある。
まとめると、このアイデアは一見
"Seems like a bad idea" かもしれない。
しかし、それこそが世界を変える可能性を秘めている。
(写真はオースティンで見た、何気ない夕焼け。苦しく見える日々も、今振り返ると鮮やかで重要な日々だったように思う。)
世界のつながりを取り戻そう
"We make the Future of Work.
Link the World, Unleash Opportunity."
未来の働き方を創造し、世界をつなぎ、機会を解き放つ。
表層的には
「新しいバーチャルオフィスツール」
「リモートワークツール」
に見えるかもしれない。
しかし、Teracyが追求しているのは、その深層にある「コネクテッド」という可能性だ。
この概念を基に、すべての設計と長期的な構想を組み立てている。
これからのTeracyは:
複数のスペースのコネクテッドな体験 (同時滞在ができる)
モバイルネイティブなコネクテッドな体験 (アプリを開かなくても状態を自動共有)
「すでに仲間がそこにいる」という状態の普遍的な提供を拡張する
を目指していく。
「コネクテッド」という概念は、人々のコミュニケーションや協働の形を根本から変え、より豊かで効率的な未来を創造する可能性を秘めている。
そしてそれは、仕事の文脈に関わらず
「人々が離れていても、共に生きていける」
そんな世界を実現する。
これについては話が長くなるので、またいつか話そう。
・・・
Teracyの旅は、まだ始まったばかりだ。
私たちは世界の人々の「つながり」を再構築する。
それは小さなチームが成し遂げるには壮大なミッションであり、簡単なことではない。
だからこそやりがいがある、自分が生きた意味を社会に残すんだ。
最後に
この文章を読むほど物好きなあなたは、きっと世界を変えたいと願っている一人なのだと思う。これから困難があっても、あなたが想う理想の世界をつくることを諦めないでほしい。
数年やそこらの葛藤や苦労など人生で見れば些細なことだ。
Teracyもこれからだ、あなたも一緒に世界を変えよう。
熱狂しよう。人生は一度しかない。
我々はこれからTeracyを世界のデファクトコミュニケーションにし、人々のつながりをとりもどす。そして場所の制約がなく機会格差のない社会を実現する。
世界をより良い場所にするために。
— Shunsuke Morii / Founder of Teracy