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[Why I Joined Teracy] 通勤0分の理想と、孤独の現実。わたしがフルリモートを辞めた理由と戻れた理由
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会社は、家から0メートル。
多くの人が夢見る未来の働き方、フルリモート。
わたしもそう信じていた。
でも、たった半年で辞めた。
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午前9時半にベッドからのろのろ起きて、10時にはもうデスクの前にいる。通勤電車に揺られることも、ヒールで走ることもない。ただただ効率がよく、居心地のよいわたしだけの仕事部屋ではじまったフルリモートという働き方。それは、新しい自由の象徴だと信じていた。
2021年の春、京都に移住すると同時に東京のフルリモートのIT企業で働きはじめた。
仕事のすべてはSlack中心、議事録はNotionでリアルタイムに共有、口頭で相談したいことがあればDiscordの部屋で音声通話、全社会議はZoom。てきぱきてきぱき効率のよいコミュニケーション。
わたしは過去にも台湾企業の日本法人にリモート勤務していたし、コロナ禍の緊急事態宣言をきっかけに旗揚げした劇団ノーミーツというリモート演劇チームにも参加していた。つまりリモートコミュニケーションのストレス耐性には自信があった。
なのに、いつしかこの毎日がつらく、しんどくなっていった。
東京にいた時はリアルな友達や家族が会える距離にいた。しかし京都に引っ越してきて、友人の数はぐっと絞られた。運悪くコロナ禍のまん延防止等重点措置の時期で、夜20時に飲食店が閉まるから、平日は貴重な関西のともだちと会う時間もなかなか作れない。孤独だった。
毎日仕事部屋の同じ窓から、同じ景色、同じ陽の光。オンライン会議の画面には同僚の笑顔が並ぶ。でもその笑顔の向こうに本当の気配は感じられない。誰かが冗談を言っても、聞こえるのは音声データだけ。笑い声の余韻も、空気の震えもない。わたしは、世界と繋がっているようで、確実に世界から孤立していた。
仕事自体は好きだった。でも、朝から晩までディスプレイに向き合う日々は、心をすり減らしていった。
一緒に暮らす夫以外の人と話すのは、せいぜいオンライン会議の場。あとは、スーパーのレジで「ありがとうございます」と交わす一言だけ。
ふと、職場の仲間と他愛もない話をしたくなった。仕事のことじゃなく、週末観た映画のこと、飼っている猫のこと、楽しみにしているライブのこと。そんなどうでもいいことが、こんなにも恋しいなんて。でもSlackで「ちょっといいですか?」と声をかけてから話すほどのことじゃないって、自分でもわかっていた。誰かのコーヒーを淹れる音。キーボードを叩く軽快なリズム。そういった些細な気配が、わたしを世界と繋いでいたのだとはじめて気づいた。
やがてわたしは、その会社を辞めた。勤めたのはたったの半年。それしか持たなかった。決して仕事が嫌いになったわけではない。ただ、このままの生活を送っていたら、自分が自分じゃなくなるような気がしたのだ。
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あれから4年が経ち、わたしのTwitterのタイムラインに、かわいい雰囲気の動画が流れてきた。

「リモートでも、仲間と働く感覚を取り戻せる」コワーキングアプリらしい。その謳い文句は、過去にリモートワークで仲間と働く感覚を失ってしまったわたしにとって、ひどく魅力的に見えた。
プレスリリースによると、「ひとりでいても、ひとりじゃない」をコンセプトに、オンラインのコワーキング空間を提供するという。試しにダウンロードしてみた。MacBook Airにインストールすると、画面に小さなウィンドウが現れる。そこには、数人のアイコンが並んでいて、どうやら彼らもそれぞれの場所でPC作業をしているらしい。
「デザイン中」「ミーティング中」といったステータスが、使っているアプリによって自動的に切り替わるのが面白い。わたしはまず、その様子をしばらく観察することにした。
しばらくすると、アイコン上の小さな吹き出しに文章が現れた。「こんにちは」と誰かが挨拶をしている。わたしも自分のアイコン上で「はじめまして」と返す。たった数文字のやりとり。でも、カタカタと一文字ずつ現れるのを見た瞬間、誰かの気配が満ちるのを感じた。あたたかくて、ほんのりと優しい感覚だった。無理に話す必要はない。ただ、そこに人がいる。それだけで、わたしの心はすっと軽くなった。
夜中に作業していて、「寝るぽよ」とカタカタつぶやく。そうしたら「おやすみぽよ」って返ってきた。なんか、こういう他愛もないコミュニケーションがしたかったんだよなぁ。

ふと、あのつらかったフルリモートの日々を思い出す。もしあの時、Teracyのようなサービスがあったなら。家の中に篭もる日々を少しだけ外に開くことができただろうか。そうすれば、わたしは会社を辞めずに済んだだろうか。
Teracyは、わたしに新しい選択肢を与えてくれた。それは、働く場所を選ぶ自由だけじゃない。誰かと、そして世界と、ゆるやかに繋がれることの喜び。あの時と変わらない窓と、変わらない景色と、変わらない陽の光。でも、かつて感じた孤独は、もうここにはない。
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数日Teracyを使ってみて、それから創業者のemoさんに「もしタイミングやニーズが合えばTeracyをお手伝いしてみたいです」とメッセージを送っていた。わたしの得意な広報を担う人が、Teracyチームにはまだいない気配がしていた。このプロダクトが世に知られないなんて、もったいない。
Teracyはフルリモートチームだ。仲間は日本に散らばってるだけでなく、台湾、韓国、インド、インドネシアにもいる。でも、Teracyが目指す世界が実現するなら、今度こそリモートでも孤独が悪者にならない働き方ができるはず。
そうしてわたしは今、Teracyの広報として、このサービスを多くの人に届ける手伝いをしている。あの頃のわたしと同じように、いま孤独を感じている人がいるとしたら、そのつらさを知っているからこそ、伝えたい。「ひとりでいても、ひとりじゃない」という感覚がここにはあると。
もしあなたが今、リモートの孤独を感じているなら、一度このTeracyをダウンロードして覗いてみてください。そこには、あなたの隣でそっと作業している仲間がいるかもしれません。
Yuka Ogi
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